2020年4月8日水曜日

三年生のゼミ生へ13


本来なら、今日からゼミが始まり、これから2年間ともに学ぶ仲間として、自己紹介をしながら、ゼミの雰囲気を盛り上げていく所ですが、コロナのために自宅で、この文章を読んでいることでしょう。
dotCampusで、どれほどのことができるのかわかりませんが、できるだけ早く、皆さんといろいろ話をしたいと考えています。
メールやこのブログや、dotCampus を利用して、何とかみんなで繋がりたいと思います。

さて、皆さんがこのセメスターで、やることが見えてきましたか。
皆さんのミッションは、『サマルカンドの金の桃』から項目を一つ選んで、そこにある注を全て洗い直すことです。
まぁ、刑事物でいえば、犯人を捕まえるために、もしくは裁判で犯人の有罪を確実にするために証拠を洗い直すような作業です。
シェーファーの見つけ出してきた証拠をもう一度見つけ出し、確認する作業です。
では、本文の翻訳の一つ目の項目に戻りましょう。
あのホームページ(choku70.web.fc2.com/i/samarkand-index.htm)の最初の項目「クローブ」は、大原研究室のサマカン(www.human.kobegakuin.ac.jp/~ohara/samarkand.html)の「第10章 香料」にある「丁香」のことです。つまり、原典の「Cloves」を日本語では「クローブ」と表記し、吉田氏はを漢字で「丁香」と訳したのです。
ここにある「注166」から「注177」までが、「クローブ・丁香」の注です。
では、この2つの文章を見比べながら、具体的な攻略法を見ていきましょう。
 原典では第一段落目の終わり「it has been included here.166」に注166がふられています。つまり、この「クローブ」を「食品」か「薬物」かどちらの項目に入れるか難しいところだが、唐代の人々はその良い香りを楽しんだのだから、香料に分類したという注があります。
ここを原典の英文では「See the recipes in HP,…」となっています。それを吉田氏は「『香譜』巻下に配合方がある。…」と訳しています。つまり、『香譜』という香に関する本に記録されているので、香料の章に入れたというわけです。
続いて、「鶏舌の香料」とか「爪の香料」などと呼ばれているというところに注167がふられています。注を見ると、このことは『本草綱目』巻34、p28aに書かれてることがわかります。
つまり、シェーファーがクローブについて、注にあるような資料を使って、まとめていることが分かります。
あなたは卒業研究では、この構造を使って、その逆をすることになります。
興味のある事柄について調べ、資料を収集し、収集した資料をあなた自身の言葉を加えて、みんなに理解できるように組み立てるのです。
ロボットか何かを色々なパーツを準備して、独自の形のものを作るとか、色々な材料を利用して新しい料理を作るとか、そんな漢字でしょうか?
あなたがシェーファーの文章を分解する作業は、シェーファーが作ったロボットを分解して、どのようなパーツをどう組みあせているかを解明したり、ある料理を食べて、その材料をやレシピを解明するようなものです。

インターネットでは色々な本が無料で読めます。
その中から私のお勧めを紹介します。
思いついたものから紹介しますので、少しずつ紹介します。
まずは、「青空文庫」から
これは無料で見られる書籍です。
著作権の切れたものを中心にボランティアの人々が入力したものです。
表現が古いのと、差別的な表現が残っていますが、そこは皆さんが本が書かれた社会背景などを考慮しながら、常識的に理解してください。
Googleで
青空文庫
と検索すると、出てきます。
あとは、青空文庫のページの説明を読んで、利用してください。

今日のおすすめは、
岡本綺堂の中国怪奇小説集
です。著者のアイウエオ順に並んでいますから、オのところから選んでください。

中国でいう小説というのは今でいう小説とはちょっとニュアンスが違うんです。
巷で噂されていて、実際に信じられていた不思議な話という感じです。
サマカンに引用されているような話もありますから、ぜひ読んでください。


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